クチコミマーケティング(WOM Marketing)

Nov 05 2009

仲俣 最近のベストセラーの本って、喋りをまとめたものがずいぶん多いんですよね。『国家の品格』はもともと講演でしょ。『バカの壁』は編集者が聞き書きで養老さんにインタビューしてるんですよ。

inf. へー。そうなんですか。

仲俣 だから新書のベストセラーの多くは、実は書き言葉じゃなくて、まあ喋り言葉であると。そういう傾向がひとつある。若い人が本を読まない、って大人はいうけど、大人が買っている本だって、「読んで」いるんじゃなくて、あれはカセットブックを聞いてるようなもんですよ。

inf. はい。

仲俣 批評の世界に小林秀雄賞っていうのがありますが、あれの受賞作のいくつかもそうですね。中沢新一の『対称性人類学』は大学の講義だし、吉本隆明の『夏目漱石を読む』も聞き書き。まあ、聞き書きというのは編集者やゴーストライターが本を作る伝統的な手法だから、これまでもずっとあったことで、ふつうの政治家や芸能人の本はぜんぶ聞き書きですからね。

inf. そうですね。

仲俣 いまはもう、学者とか批評の言葉でも聞き書きでOKっていうことになった。文学はちょっと脇に置くけど、批評もアカデミズムも、もう聞き書きでいい。その方が売れるし、読まれるという事態がある。語り言葉、喋り言葉をどんどん本に載せていかざるをえない状況がどうやら来ている。このふたつが出版界ではいま特徴的なことだと僕には思えるんですね。でも、それでほんとに良いのって話もあるわけで。……きっとこのあたりが、今日聞きたいことかな、と思って話してるんですが。

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